日本国憲法第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。
2008年3月21日、チェチェン難民の男の子が亡くなりました。彼の名前はラマザン・ハトゥーエフ(28歳)。
彼がロシアのブリヤート共和国から日本にやって来たのは、2005年の11月のことでした。それから約2年後、彼は病気に侵され、日本で難民認定を得ることもなく、ロシアにいる家族と再会することもなく、死んでいきました。
今、私に残された彼の遺品は、煙草と、ライターと、吸殻の入った携帯用の灰皿です。「(タバコを)6ミリから3ミリにした」と病室で笑っていたのが、いつのことだったかは思い出せません。「家族が心配するからロシアに電話はしない」と、強がっていたことも。
本当に死ぬまでバカな奴だったと思います。でも、彼だって、死ぬために、日本に来たわけではありません。
ロシア政府は、最期の瞬間まで、彼を家族と引き離し続けました。医師は、彼の病気が何だったのかを、最後まで突き止めることができませんでした。
私たちは、彼が難民であるということを、結局日本政府に認めさせることができませんでした。あるいは、日本で生きていくための強い意志を彼に与えることも。
私は、日本人の彼女がいても少しもうまくならなかった彼の日本語に、病気の語彙ばかりが増えていくのを、ただ見ていることしかできませんでした。最初に肝臓が、次に腎臓が、そして肺が、心臓が、壊されていくのを、彼の体につながる管の数が増えていくのを、ずっと見ていることしかできませんでした。
彼が亡くなる前日、私たちは声を出せなくなった彼と話をすることができました。瞬きさえ思い通りにならなくなっても、人間は瞳を動かせることを、そして涙を流せることを、初めて知りました。YESのときに瞳を左右に動かすよう伝えると、彼は応えてくれました。
けれど、私は本当に訊きたかったことを彼に訊くことはできませんでした。ラマザンは日本に来てしまったことを後悔してる?
今、私たちは、彼の遺体をロシアにいる家族のもとに届けたいと考えています。彼が亡くなってからお金を集めようとするなんて、自分でも何をしているのだろうと思ってしまいます。でも、彼を遺族に届け、チェチェンに葬るためには、緊急にお金が必要で、それは私たちだけの力では無理なんです。
だから、どうかお願いをさせてください。3月31日(月)までに、あと32万円集まれば、私たちは彼を必ず家族に届けます。せめて、彼と家族の最後の願いを叶えるために、あなたの手を貸していただけないでしょうか。どうかお願いいたします。
送金された方はメールアドレスを教えていただければ幸いです。後日、会計報告をお知らせいたします。
2008年3月26日 チェチェン連絡会議 植田那美
郵便振替口座名称:チェチェン連絡会議 00180-6-261048
(通信欄に「ラマザン」とご記入ください)
銀行口座:三井住友銀行 溝ノ口支店 (普) 2835929 チェチェンニュース編集室
問合せ先:メールアドレス kanti_4(at)hotmail.com
[追記]彼の遺体をモスクワに送るために必要な総額は約120万円で、そのうち空輸棺を送る費用52万円だけはフライトまでに前払いしなければなりません(26日現在20万円の寄付が集まっているので残りは32万円です)。皆様からのご寄付は、3月31日(月)以降も継続して受けつけておりますので、どうかご協力をお願いいたします。
ロシアのプーチン大統領は28日、イラクで起きた武装組織による露大使館員殺害事件をめぐり、犯行グループを皆殺しにするよう露特殊部隊に指令した。大統領府報道部の発表としてタス通信が伝えた。映画「ミュンヘン」を地で行くような・・・曲がりなりにも「独立国家」の領地に、勝手に人殺し部隊を送ることを宣言するとは!
この10月、ロシアのウスチノフ検察総長は、ロシア下院で、「テロリストの家族に対する逆誘拐は、テロとの戦いの一部だ」と発言している。ロシア政府側は、チェチェン独立派をひとくくりに「テロリスト」と呼ぶ。「逆誘拐」の目的は、地下化した独立派に心理面からゆさぶりをかけることだろう。このやりかたも「テロリズム」というものではなかろうか。
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