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回転  山上たつひこ

 どうも寝付かれないので、こんな真夜中に投稿(苦笑)

「がきデカ」で有名な山上たつひこの作品集。後期のギャグ漫画に移行する前の「光る風」は知る人ぞ知る名作ですね。ここに収められた作品は初期のミステリが主体です。

表題作の「回転」は「光る風」に近いシリアスな作品です。短いけれど、戦争によって傷つけられた人間の悲しみがギュッ、と詰まっています。以前どこかで読んだ記憶があって鮮烈な印象を刻み付けられたのですが、題名も憶えていなくて今回偶然に再会したのです。

「号泣」する登場人物の絵というものはコミックの世界では数多あるわけですが、私が真っ先に思い出すのはこの「回転」の女性でした。愛する者を失う悲嘆を数ページのなかに見事に表現していて、忘れられなかったのです。私にとって戦争を考えるときの、ある種の原イメージになっていたのかもしれません。

安くはない本ですが、読んでほしいなあ。

at 03:07, 主義者Y, コミック

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「石の花」より



サイドバーに掲げてある「石の花」文庫版第5巻から。
「石の花」は坂口尚氏の代表作のひとつで、第二次世界大戦のユーゴスラビア・パルチザン戦争が物語の舞台になっています。

「苦労だって!? 大人たちが戦争を始めるんじゃないかッ
どうしてポルックやミーチャがひどい目にあわなけりゃならないんだ
そんな苦労を背負わなけりゃならないんだ!」

「戦争を仕かけたほうは悪い しかし売られた方は正義のための戦いだ」

「でもカル その善悪のために どうして子供たちが苦しめられなければいけないんです!? 子供たちは白だとも黒だとも知らないし いってもいないんですよ
それなのに どうして!?」

実は、このへんが昔はピンとこなかったのです。でも「これは何が言いたいのだろう?」という違和感としては残っていました。
この作品を読んだ最初のころは、善悪を必死になって争うという次元とは別に「子ども」の軸を立てることに、まだ洞察力というか想像力が及んでいなかったのでしょう。今でも私個人としては自分の血を分けた子のいる人間ではないですけれど、ある年代を経て、また特に「この時代」を生きるにつれ、今は少し自分が変わってきたように思います。

「理屈どおりにいかんのが現実なのさ」と、あきらめて受け入れる大人
けれどその「現実」の創成に、子どもは参加をしていません いいとも悪いとも言ってません
そんな「現実」を子どもに押しつける大人は、無責任の謗りを免れないのではないですか

われわれ大人は
偽ることをやめて、誠実さを取り戻さねばならないし
あきらめることをやめて、希望をつくりださなければいけないのではないでしょうか
最近わたしが考えているのはそういうことです


「石の花」 じゃないけれど 「石の花」!



*「この時代」は「ザマナイ」にひっかけてます。また、原発震災後の日本でもあります。




     健やかな子らは なぜ消えた        
     風になびく髪は  なぜ消えた        
     心ない仕打ちよ  ザマナイ         
     ザマナイ ザマナイ 
     
     清き故郷は なぜ消えた
     哀れなるわが大地
     数え切れぬ 爆発 閃光に
     引き裂かれたわが心よ

作詞:Ulugbek. Esdauletov  原語訳:アケルケ・スルタノワ
日本語詞:高橋朋子


CDの「ザマナイ」をプレゼントしてくださった、うにさんにも感謝を込めて
「ザマナイ」については、こちらのサイトを参照してください

永遠の歌を求めて

at 23:40, 主義者Y, コミック

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ノルトハウゼンで買った坂口尚

ミッテル・バウ・ドーラ収容所を見に来る「観光客」くらいしか泊まることはない(だろう)ノルトハウゼン。その駅舎内の書店をぶらぶら歩いていたら




これは上村一夫ではないか!
その隣は「いっきゅう」・・・!!
坂口尚の「一休」ではないかぁ!!!





で、嬉しさのあまり買ってきてしまった。ところどころのわずかなドイツ語しか拾い読みできないのだけど。日本でも坂口尚氏の作品は、手に入れらるかぎりのものは古本屋も含めて全て揃えているのだった。それがドイツの一地方都市の小さな本屋で目にしようとは!

上村一夫といい、ドイツのコミック出版はなんとマニアックなのだろう。



これはスオメンリンナ島の軍事博物館、ハメーンリンナの砲兵博物館、パロラ戦車博物館で買ってきた書籍・DVD。

at 20:29, 主義者Y, コミック

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追悼 赤塚不二夫



私を育ててくれた漫画家がまた一人逝ってしまった。

at 23:38, 主義者Y, コミック

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最近発売のコミックいくつか

レッド 2 (2) (イブニングKCDX)
レッド 2 (2) (イブニングKCDX)
山本 直樹

連合赤軍事件を描いた作品の第2巻。当時のファッション、言葉遣いなどのディテールなども含めてよく描けてます。登場人物に張り付いている番号(殺されていく順番を示した数字)が切ない。

風雲児たち 幕末編 13 (13) (SPコミックス)
みなもと 太郎

幕末を描く「風雲児たち」。関が原の合戦(笑)から始まって、今回いよいよハリスの江戸参府に。ワイド版18巻プラス13巻目にして、やっとここまで来ました。これは間違いなく歴史マンガの金字塔です。

光る風
山上 たつひこ

軍国主義化していく近未来の日本を描いた1970年発表の作品。私は「がきデカ」を読んでゲラゲラ笑っていた世代です。同じ著者がこんな作品を描いていたとはショックでした。今回は新装の大型本全一巻で発売。


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at 07:59, 主義者Y, コミック

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樹村みのり

思い出した。
「光の雨」のパンフにあったものを書き留めておく。

それから わたしたちは 大きくなった
こどもだった わたしたちは みな 大きくなった
わたしたちの うちの一人は 留学のために 羽田をたった ばかりで
もう一人は 72年の年の2月の 暗い山で 道にまよった

さりげない最後の一行が胸を刺す。
「贈り物」(1974年)という作品からの引用だそうだが、樹村みのりの昔の作品を見つけるのが難しい。

検索したら、なんと18年ぶりに新刊を出したとか!
これは本屋に走るしかない。
見送りの後で (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス) (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
見送りの後で (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス) (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
樹村 みのり


ちなみにこちら↓も叢書サイズで上中下の三巻があらためて出た。
石の花 下巻 (光文社コミック叢書“シグナル” 13 坂口尚長編作品選集 1)
石の花 下巻 (光文社コミック叢書“シグナル” 13 坂口尚長編作品選集 1)
坂口尚


しかし、どうして私の好きな漫画家は、激しくマイナーなんだろう。

(追記)
あ、あ、あ・・・真崎守だ!(悶絶)
共犯幻想 上 ワイド版 (1)
共犯幻想 上 ワイド版 (1)
斎藤 次郎


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at 22:30, 主義者Y, コミック

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杉浦日向子は偉大なり

ゑひもせす 新訂版
ゑひもせす 新訂版
杉浦 日向子

つい最近たまたま購入したのだが。
つくづくと惜しい人を亡くした。
個人的には『崖』が衝撃的だったかな。
わかった、なんて言うと殴り倒されそうだけど、碾き臼で潰されたような痛覚を。
なんと言ったらいいのだ。

杉浦 日向子さん逝去(7月26日)

at 23:08, 主義者Y, コミック

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「笑ってください」

すこしお休みしてました。
狭い自宅ながら、退院(7月30日)してからはいろいろと目移りがし、テレビなんかもダラダラ見ておりました。まだ電車・バス等に乗る訓練まで進んでないので、近所に出かけることもしておりません。
今日こそは隣のラーメン屋にチャレンジしようかと思っております(笑)
店に入るためには3段くらいの階段を下りねばならんのです。

そんなことで新しい書籍を購入できないフラストレーションは相変わらず。
そこで入院中に覚えたのが、ネットからコミックをダウンロード購入することでした。
続きを読む >>

at 10:13, 主義者Y, コミック

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杉浦 日向子さん逝去

<訃報>杉浦日向子さん46歳=江戸研究家、エッセイスト
(7月25日:毎日新聞)

若すぎる・・・学生時代に読んだ「合葬」。もう20年も前になるのか。
江戸時代の人間像をこれほど精力的に描き、紹介しようとした人は希有だった。
この人のおかげで「江戸」に関心を持った人は多いと思う。
近代以前の人間、また社会の相貌を生き生きと映し出すことによって、近代が逆に浮かび上がってくる、そんな仕事をしてくれた人ではなかったか。

ほんとうに惜しい人を亡くした。

合葬
合葬
杉浦 日向子


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at 11:03, 主義者Y, コミック

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坂口尚「石の花」から

「うそだ うそだ 嘘をつけッ 殺したかったんだ!
 侵略されたから殺したかったんだ
 味方をやられ憎いから殺してやりたかったんだ
 殺したいから殺したかったんだ」
「そうだッ それで何が悪い 平和を守るためだ 平和を乱す者と戦う!
 それで何が悪い!」

* * * * * * *

「では あなたに 一つ質問したい
 あなたは戦争が起こる以前に 戦争のことを考えたことがおありですか?
 人間のことについて深く思い悩まれたことがおありでしょうか?
 どのくらい深く問われたのでしょうか?

 戦争が起こり 銃を持ち 立ち上がる それは雄々しいことでしょうが
 皮肉を一ついわせてもらえば 銃を持ったのは その時その人間に
 直接に危険が迫っていたからですよ
 その人個人の幸福が破壊されかねないという理由です まず何よりもね

 でも そのことについて今批判しようとは思いません
 しかし 戦争を起こしたくないという願いのために
 起こる前に 起こさないように想いをめぐらす
 それは銃を持って立った人間より 価値の低いことでしょうか!?
 いえッ 戦争のことだけではありません
 人間を含めた 自然の 宇宙のことを 
 先生は想いをめぐらせていたんです!
 それはのんきで真剣でないことでしょうか!?」

* * * * * * *

「もう一度たずねます・・・
 あなたの平和とは どんなイメージなのでしょうか!?」
「きみの描いている平和は非現実的だよ 幻想だ!
 子供のような夢だ!」
それこそ 戦争を起こすもと(原因)なんだ!
 真に平和な世界をだれ一人 だれ一人経験したこともないのに
 どうして ダメだといえるんです!?」

* * * * * * *

「これからです これから この星に生まれた私の生活が
 はじまるんだと思っています
 守るとか 攻めるとかでなく 何よりも何よりも
 創らなければならないんです!」

石の花 (5)
石の花 (5)
坂口 尚

at 10:46, 主義者Y, コミック

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